■specimen_No.001_M 愛知県 北設楽郡 設楽町 田口鉱山

Pyroxmangite / パイロクスマンガン石
□ (Mn,Fe)7Si7O21

我が国が誇る美しい結晶鉱物の一つと言って差し支え無いでしょう。 愛知県の田口鉱山や栃木県の日瓢鉱山で見付かり、一気に人気が急上昇しました。 マンガンを含む珪酸塩鉱物でモース硬度は6とそれなりの硬さはあります。 ただ劈開が発達しているため割れやすく、また大型の結晶は珍しいため滅多にカットはされません。 また現在は後述の理由から新規産出が見込めず、良質な標本はコレクターの放出品などを待たねばならない状態です。

田口鉱山では本鉱物のみの標本が得られるとあってズリ山に多くの鉱物愛好家が詰めかけました。 ですが現在では管理者変更に伴って立ち入りが厳しく制限されています。違反した場合は逮捕もあり得るのでくれぐれもご注意を。 日瓢鉱山では塊状で産出するため標本としての魅力は落ちますが、こちらも現在はほぼ産出がありません。 海外では薔薇輝石と混在する状態で見付かる産地もあります。


■specimen_No.001_M 愛知県 北設楽郡 設楽町 田口鉱山

この標本No.001は黒色~こげ茶色のネオトス石に埋もれるように細かな結晶が多数見られます。 幾つか候補の標本があったのですが、暗色の背景のほうが映えると感じたため、あえてこの標本の購入を決めました。 所々に黒い被膜に覆われて見えづらくなっている結晶が確認できます。


■specimen_No.001_M 愛知県 北設楽郡 設楽町 田口鉱山

拡大するまで分かりませんでしたが直線的な亀裂があちらこちらに走っており、本鉱物の劈開の強さが伺えます。 結晶は三斜晶系でルビーに似た赤紫色が美しいです。透明度も高く結晶面もしっかり見えています。 薔薇輝石に良く似ていますが、本鉱物のほうがマンガンによるピンク色が強く現れているでしょうか。


■specimen_No.001_M 愛知県 北設楽郡 設楽町 田口鉱山

光の当て方によってはこのように非常に美しいルビーレッドに見えます。 完全な劈開を持つためカットは困難ですが、この美しい鉱物を宝石として利用できないのは少々もったいないと思ってしまいます。 でも実際にはカットしようとするとパキパキと砕けてゆき、どんどんカットできる部分が減ってしまうそうです。 ちなみに本鉱物をルースしたら鉱物愛好家からクレームが入った、なんて噂も耳にしています。 確かに産出量を考えれば美しい結晶を壊してしまうこともまた「もったいない」のかも知れません。




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