■specimen_No.001_L Lordsburg District, Hidalgo Co., New Mexico, U.S.A.

Romanechite / ロマネシュ鉱
□ Ba(Mn2+,Mn4+)5O10・H2O

購入当初から色々と変わってしまった標本です。 まずは形状。元は写真手前にも母岩が飛び出していたのですが、衝撃などではなく自然と崩れ落ちてしまいました。 標本の下に支えを挿入しておくべきだったと後悔しています。 そして、そんなことよりも変わったことと言えば鉱物名です。以前はサイロメレーン鉱(Psilomelane)と呼ばれていましたが、 鉱物趣味を一旦休止してしばらくした頃に鉱物名が変更されたことを知りました。

バリウムを含むマンガンの酸化鉱物です。単斜晶系で比重は6.5と非常に重いです。 タングステンを含む超重量鉱物の灰重石でも6.1なので、その重さが良く分かります。 また似た化学式を持つ鉱物が複数存在し、これらはクリプトメレーングループと呼ばれています。

学名が変更になった経緯は中々に複雑で、そもそもサイロメレーン鉱とは鉱物単体の場合もありましたが、 その正体は軟マンガン鉱やクリプトメレーン鉱などの複数の鉱物の混合物だったのです。 そしてその混合物の中に本鉱物であるロマネシュ鉱も含まれていました。 混合物だと判明した今、サイロメレーン鉱と言う呼び名は意味を失い、それぞれの鉱物に分けられたのですが、 かつてサイロメレーン鉱と同定されたものの中に本鉱物が存在したと言うわけです。


■specimen_No.001_L Lordsburg District, Hidalgo Co., New Mexico, U.S.A.

本鉱物名で画像検索してみると、代表的な産状は2つ。 1つは赤鉄鉱や針鉄鉱などでも見られる仏頭状のボコボコしたもの。 もう1つが針状の微細結晶の集合体で、この標本はそれに該当します。 と言ってもどちらも成長点から放射状に結晶が成長する点では共通していますけどね。 この針状結晶がみっちり隙間無く成長して仏頭状になるわけですから。


■specimen_No.001_L Lordsburg District, Hidalgo Co., New Mexico, U.S.A.

ニューメキシコ州産の本鉱物はこのような針状結晶が多いようですね。 単結晶は表面に金属光沢を持っているので、写真では銀色に見えますが結晶そのものはかなり黒いです。 マンガン鉱物は黒いものが多いですしね。撮影用に強い照明を当てているのでやむを得ません。




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