■specimen_No.001_M Leveaniemi Iron Mine, Svappavaara, Kiruna district, Lappland, Sweden

Strengite / 燐鉄鉱・ストレング石
□ Fe3+PO4・2H2O

磁鉄鉱や軟マンガン鉱などを母岩として結晶の球状集合体を形成する鉄の燐酸塩鉱物です。 その結晶の色と産状の美しさから鉱物標本としてはかなり高価な部類に入るため、購入にはかなり勇気が必要でした。 世界中に産地はありますが、標本として鑑賞に耐えうる標本の産地は限られるので、かなり貴重な鉱物だと思われます。 全く同じ化学式を持つ多形の鉱物にフォスフォシデライトが存在します。 本鉱物が斜方晶系であるのに対し、フォスフォシデライトは単斜晶系であり、不透明な塊状で産出することが多い鉱物です。

和名はちゃんとあるのですが、あまりこちらの名前では呼ばれないようです。 全く別の「鱗鉄鉱」が同じ読みなので間違えないように区別をしているのでしょうか。


■specimen_No.001_M Leveaniemi Iron Mine, Svappavaara, Kiruna district, Lappland, Sweden

磁石がくっつくのを確認しましたので、標本No.001の母岩は磁鉄鉱で良さそうです。 結晶は透明で特徴的な薄紫色。この穏やかな色合いが本鉱物の魅力の一つと言えるでしょう。 赤褐色を示す三価の鉄イオンを含む本鉱物が淡い紫色になるのは、微量のマンガンを含んでいるためだそうです。 ちなみに標本のところどころに見られる暗緑色の球状集合体はロックブリッジ石です。


■specimen_No.001_M Leveaniemi Iron Mine, Svappavaara, Kiruna district, Lappland, Sweden

一つ上の写真では球状集合体が集まりすぎていて一つ一つが区別できなくなっていますが、別の部位を拡大してみるとその特徴が良く分かります。 放射状に広がった微細な結晶がまるで花のような形状になるのが本鉱物のもう一つの魅力でしょう。 割れてしまった球状集合体の断面を見れば、内部がどうなっているのかも良く分かりますね。


■specimen_No.001_M Leveaniemi Iron Mine, Svappavaara, Kiruna district, Lappland, Sweden

非常に美しい本鉱物の球状集合体を拡大してみました。結晶面もハッキリと見えています。 実はこのような美しい標本が採れる場所は世界でも限られており、特にこのスウェーデンのスワッパバーラ産は「最も美しい」と称されています。 拡大しなければ分からない程度ですが、凹凸部分に褐鉄鉱と思しき鉄の酸化鉱物が入り込んでいるのが惜しいですね。


■specimen_No.001_M Leveaniemi Iron Mine, Svappavaara, Kiruna district, Lappland, Sweden

もう少し拡大してみました。奥行きがあるためマクロレンズでの撮影は難しいですね。 しかし放射状に成長した薄紫色の結晶の美しさは本鉱物ならではの魅力ですね。


■specimen_No.001_M Leveaniemi Iron Mine, Svappavaara, Kiruna district, Lappland, Sweden

せっかくなので共生しているロックブリッジ石に囲まれた本鉱物も撮影してみました。 どちらも球状集合体を形成するので雰囲気は似ていますが、ロックブリッジ石の結晶は微細なので完全な球体に見えます。 本鉱物は共生鉱物とのバランスも特徴的で、特にライムグリーン色のキドウェル石との共生標本は人気が高いです。




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