■specimen_No.001_L Wessels Mine, Kuruman, South Africa

Sugilite / 杉石・スギライト
□ KNa2(Fe,Mn,Al)2Li3Si12O30

読みは「すぎいし」ではなく「すぎせき」。宝石に次ぐ準宝石として世界的に人気があり、 紫色が美しい宝石質のものは「ロイヤルアゼール(Royal Azel)」と言う宝石名で呼ばれます。 漢字はスギライトの当て字ではなく、発見者である日本の岩石学者である杉健一氏に因む名前です。 そもそも本鉱物が初めて発見されたのは愛媛県岩城島なんですよね。我が国に縁のある鉱物です。

鉱物としては六方晶系の珪酸塩鉱物であり、非常に複雑な化学式となっています。 初発見時はうぐいす色の鉱物でしたが、後に南アフリカから美しい紫色の本鉱物が見付かりました。 モース硬度が5.5~6.5と比較的高く、宝石、特にパワーストーンとして人気があります。 しかし基本的にはトルコ石のように結晶を作らずに塊状で産出する鉱物であり、 利用方法も面を作るカットではなく、丸く研磨してブレスレット等のアクセサリに使用されることが多いです。


■specimen_No.001_L Wessels Mine, Kuruman, South Africa

実はこの標本はあまり一般的な産状ではありません。と言うのもこの標本は本鉱物の結晶が見られるのです。 本鉱物はトルコ石のように塊状で産出するのが一般的。磨かれる理由もこのためです。 しかしこれもまたトルコ石のように、ごく稀に結晶として産出することがあります。 不透明な結晶であればある程度流通していますが、美しい結晶面と透明度を持つ標本となると数が激減します。


■specimen_No.001_L Wessels Mine, Kuruman, South Africa

一部を拡大してみました。ハッキリと結晶面が発達しているのが確認できます。 このガラス状光沢が見られるだけでも相当珍しいことなんですよ。 また結晶の透明度もかなり高く、光に透かすと息を飲むような美しさです。


■specimen_No.001_L Wessels Mine, Kuruman, South Africa

角度を付けて光を当てると結晶がキラキラと輝いて本当に美しいですね。 最初に入手したのはサムネイルサイズの標本No.002だったので、 トルコ石の結晶標本を入手した後だったこともあり、「杉石の結晶」と聞くだけで悶てしまいました。 結晶は母岩の小さな隙間を埋めるように成長したようで様々な方向を向いています。


■specimen_No.001_L Wessels Mine, Kuruman, South Africa

マクロレンズで撮影した結晶です。この微細な結晶面の集合体がキラキラの理由です。 トルコ石の結晶のような微細結晶ではなく、大きな結晶に成長しているので観察はしやすいです。 調べてみるとここまで透明度の高い標本は珍しかったようで、お迎えできてラッキーでした。

結晶好きな管理人的にはパーフェクトな標本なのですが、本鉱物は普通塊状で産出する鉱物。 そうなるとやっぱりそのタイプの標本も欲しくなると言うものです。 サムネイルサイズではなく、Lサイズの標本もちょっと探してみましょうかね。 加工品の人気があるためか、加工には向かないような小さい標本くらいしか市場に出回らない気がします。




■specimen_No.002_S Wessels Mine, Kuruman, South Africa

最初に入手したのは小さなサムネイル標本でした。 基本的に母岩付きかつ結晶性の鉱物が好きな管理人的にはあまり意識せずに何となく購入したようなもの。 しかし帰宅して照明に透かすと、今まで鉱物で見たことが無いような濃い紫色で衝撃を受けました。 だからこそ結晶性の本鉱物が存在すると知って標本No.001の購入に踏み切ったのですから。

複数枚使っても魅力は伝わらないので、最初の大きい写真をいきなりオンマウスで切り替わるようにしました。 光に透けた際のこの美しい紫色を見ると、宝石的な価値が生まれることにも納得できます。 カボションカットや球状研磨であれば結晶面が無くともトルコ石や翡翠のように利用できますからね。




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