■specimen_No.001_M Mibladene, Upper Moulouya lead district, Midelt, Khenifra Province, Meknes-Tafilalet Region, Morocco.

Vanadinite / 褐鉛鉱・バナジン鉛鉱
□ Pb5(VO4)3Cl

名前からも分かりますがバナジウムと鉛を含む赤色が非常に美しいバナジン酸塩鉱物です。 バナジウムは産業的にも貴重なレアメタルであり、本鉱物がその抽出元になっている他、鉛源としても利用されます。 世界中で産出しますが、市場に出回るもののほとんどはモロッコ産のものですね。 鉱物標本としては流通量は多く、学習用の鉱物標本などに含まれているほどには一般的な鉱物で価格も安価です。 本鉱物とミメット鉱の中間的な鉱物として砒素バナジン鉛鉱が存在します。

この標本No.001もそうですが、とにかくモロッコのミブラデン鉱山が良質な結晶の産地として有名です。 むしろ市場に流通する標本の大半がこの産地なのではないかとさえ思えます。 最大の特徴は何と言ってもこの鮮やかな赤色と六方晶系から来る六角形の厚い板状結晶でしょう。 ミブラデン鉱山の魅力は何と言っても母岩が真っ白な重晶石である点。 そのため本鉱物の赤色が強調され、観賞価値が増します。比重は「6.88」とかなり重め。



■specimen_No.001_M Mibladene, Upper Moulouya lead district, Midelt, Khenifra Province, Meknes-Tafilalet Region, Morocco.

大型の結晶を持つ良質な標本は驚くほど出回らず、長らく探してやっとの思いで入手できました。 最初から妥協せずに質の良いものを手元に置きたいと決めていましたからね。 バナジン鉛鉱と言えば代表的な特徴と言えばこの光沢です。 透明感があるのにまるで金属光沢のように見えるそれは準ダイヤモンド光沢とも呼ばれます。


■specimen_No.001_M Mibladene, Upper Moulouya lead district, Midelt, Khenifra Province, Meknes-Tafilalet Region, Morocco.

ご存知の方は多いでしょうが、本鉱物は母岩に無数の不透明な微細結晶が付いている標本が一般的です。 なので本鉱物の標本を何度も見た方であれば、この写真を見ると違和感を感じるのではないでしょうか。

違和感の理由の1つは結晶の大きさです。この標本には多くの大型結晶が付いており、最大で直径12mm、厚さ4.5mmもあるのです。 小さいと思われるかも知れませんが、実際に一般的な標本を手に取るとその異常な大きさを実感できると思います。

違和感のもう1つの理由、それは透明度です。 本鉱物は色こそ鮮やかな朱色ですが、小型でも透明度が低く、通常は少し光が透ける程度です。 特に大型結晶では結晶面こそ綺麗ですが、不純物により透明度が落ちた標本が多いのです。 しかしこの標本は結晶の透明度が非常に高く、管理人個人が最も気に入っているポイントでもあります。





■specimen_No.002_S ACF Mine, Mibladene, Upper Moulouya lead district, Midelt, Khenifra Province, Meknes-Tafilalet Region, Morocco.

1,000円以下で非常にお値打ち価格で販売されていたのでノリで購入したサムネイル標本です。 それ以降は大型標本を集めるようになり、このような小型標本を集める機会は減りました。 産地は当然ながらミブラデン。ただ珍しく鉱山名まで記載されていました。 ただ無記載の標本でもこの鉱山産のものが一般的のようですね。


■specimen_No.002_S ACF Mine, Mibladene, Upper Moulouya lead district, Midelt, Khenifra Province, Meknes-Tafilalet Region, Morocco.

標本No.001の結晶サイズと透明度が異常なだけで、普通に手に入る本鉱物の標本はこんな感じです。 結晶の直径は大きいものでも5mmほど、厚さも1mm程度で、ほとんどはそれ以下の微細結晶です。 ただ結晶の光沢は相変わらず強いので、これはこれでラメのようで美しいんですよね。 母岩の白い重晶石はほぼ隠れてしまっています。




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