■specimen_No.001_M Laochang ore field, Gejiu Sn-polymetallic ore field, Gejiu Co., Honghe Autonomous Prefecture, Yunnan Province, China.

Veszelyite / ベゼリ石
□ (Cu,Zn)2Zn(PO4)(OH)3・2H2O

管理人が好きなタイプの鉱物だなと言うのは分かっていましたが、 これだと思う標本は高額で手が出せず、手を出しやすい価格の標本では物足りない。 そんな感じでずっと入手の機会を逃し続けていましたが、鉱物フェアで納得できる標本に出会えました。 銅と亜鉛を含む単斜晶系の燐酸塩鉱物で、やや緑がかった美しい青色がコレクターに人気です。 その人気のせいで入手のハードルが上がっているんですけどね。

初発見はルーマニアで、学名は発見者のハンガリー人鉱山技師の名前に由来します。 ネット上で調べると「A. Veszeli (1820-1888)」と紹介しているページが多いのですが、 実際には「Ágost Veszely (1821-1879)」が正しいようです。 世界的に広く産出しますが産出量が少ない上に良質な結晶の産地は限られ、 代表的なものは中国雲南省の老厂(Laochang)のスズ鉱山産の標本です。


■specimen_No.001_M Laochang ore field, Gejiu Sn-polymetallic ore field, Gejiu Co., Honghe Autonomous Prefecture, Yunnan Province, China.

本鉱物と言えばこの美しい青緑色の微細結晶が代名詞ですよね。と言っても相当青色寄りの青緑色ですけど。 大型結晶になることもあるのですが、私はやはりこのような微細結晶の集合体が好きです。 また母岩がアイボリーカラーなのも本鉱物の美しさを引き立ててくれています。


■specimen_No.001_M Laochang ore field, Gejiu Sn-polymetallic ore field, Gejiu Co., Honghe Autonomous Prefecture, Yunnan Province, China.

ルーペ等で拡大しないと分かりませんが、この産地では楔形の結晶が束状に成長することが多いです。 共生鉱物は異極鉱が多いのですが、この標本は周辺部が短波紫外線で赤く蛍光することから方解石のようです。


■specimen_No.001_M Laochang ore field, Gejiu Sn-polymetallic ore field, Gejiu Co., Honghe Autonomous Prefecture, Yunnan Province, China.

この標本を手に取った時、当初は購入する気にはなれませんでした。 理由はこの粉末が付着したような外見。母岩の粉が結晶に付着しているとその時は思ったのです。 鉱物標本は基本的に水洗いができないので、このような粉末状の汚れは落とすことができません。 ですがルーペで確認して微細な結晶であることが判明し、逆に気に入って購入を決意しました。 母岩と同じ鉱物と考えられるので、これも方解石と考えて良いでしょう。


■specimen_No.001_M Laochang ore field, Gejiu Sn-polymetallic ore field, Gejiu Co., Honghe Autonomous Prefecture, Yunnan Province, China.

この標本は束状に成長した結晶の集合体が隣同士がくっ付き合って水の流れのようになっているのがお気に入り。 表面に点々と付いた方解石の結晶が泡のようにも見え、動きを感じるのは私だけでしょうか。 共生鉱物とのバランスって大事なんですね。


■specimen_No.001_M Laochang ore field, Gejiu Sn-polymetallic ore field, Gejiu Co., Honghe Autonomous Prefecture, Yunnan Province, China.

ここまで散々標本を褒めて来たので、そろそろ鉱物そのものにも触れておきましょう。 本鉱物は比重3.4とやや重めですが、結晶量は多くないので手に持つと軽いです。 美しい鉱物ではありますが、大型結晶になりづらいことと3.5~4と言う低いモース硬度のため装飾品には向きません。 結晶は先端が尖った楔形。それが束になって成長することで階段状になります。 管理人はアタカマ石やコルネ鉱が大好きと言う時点で、この鉱物が好きではないはずがありません。




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