■specimen_No.001_L Francon Quarry, Montreal, Jacques Cartier Co., Quebec, Canada

Weloganite / ウェロガン石
□ Sr3Na2Zr(CO3)6・3H2O

本鉱物の標本はフランコン採石場(Francon Quarry)産のものばかりです。 と言うのも産出がほぼこの産地に限られていたためです。 過去形なのは閉山に加え、ズリからの残り物採取も取り尽くされ、もう新規産出が期待できないためです。 そのため現在ではほとんど国内での流通が見られなくなりました。 ちなみに学名はカナダ地質調査所の創設者かつ初代ディレクター、 ウィリアム・エドモンド・ローガン(William Edmond Logan)氏への献名です。 「ウェロガン」は「W.E.Logan」と言うワケですね。

三斜晶系の炭酸塩鉱物で、六角柱状結晶を形成します。 結晶は両端へ向かうほど細くなるので、スリランカ産のサファイア結晶のような形状になります。 ドレッセル石、フランコン石、ギブス石、方解石など様々な鉱物と共生した状態で見付かります。


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本鉱物はかなり分かりやすく六角柱状結晶を形成するので撮影していて面白いです。 また本鉱物は母岩に対して横たわるように形成されることが多く、 結晶先端がクラックしていることが多いので、このように結晶先端が完全に残っているのは幸運ですね。 モース硬度は3.5しか無く、どうしても傷みやすいようですね。

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本鉱物は蛍光鉱物としても知られていますが、実は紫外線の波長によって蛍光がかなり違います。 有名な蛍光は短波紫外線によるものであり、長波紫外線では蛍光は見られません。 ただ共生しているカルサイトが少し赤く蛍光しますけど。

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本鉱物は長波紫外線では蛍光しませんが、中波紫外線(UV-B)で黄緑色の蛍光を示します。 一応長波紫外線ライトを照射すると若干波長が近いためか少し蛍光しているように見えます。 ただ方解石の赤色に負けてますが。

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そしてこれが本種の代表的な蛍光反応、短波紫外線によるオレンジ色の蛍光です。 ただ蛍光性そのものがかなり弱いので、かなりの長時間露光しないと写真として成立しません。 大型の結晶であればもう少し明るいのでしょうね。大型結晶の標本も手元に置きたいところです。


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結晶先端の構造が分かりやすい結晶があるので拡大してみました。 先端はほとんど平面で、淵の部分が少し斜めになっています。 ペツォッタ石の先端部分をもっと潰したような形状と表現すれば良いでしょうか。 魅力的な鉱物なのですが、色は淡黄色とかなり地味で、小型結晶だとほぼ無色に見えるのがちょっと残念?




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